こんにちは!東伏見整形外科です!!
今回は腰部脊柱管狭窄症について説明いたします。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は、腰の部分の脊柱管(背骨の中の神経が通るトンネルのような空間)が狭くなり、その中を通る神経が圧迫されることによって引き起こされる疾患です。脊柱管は背骨を構成する骨や靭帯、筋肉などで囲まれており、その内部を脊髄神経が通っています。脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され、さまざまな症状が現れます。
### 腰部脊柱管狭窄症の原因
腰部脊柱管狭窄症は、いくつかの原因によって引き起こされます。最も一般的な原因は、加齢による背骨の変化です。以下はその主な原因です。
1. **加齢**:
- 年齢を重ねることで、椎間板(背骨と背骨の間にあるクッションのような構造)が薄くなり、脊椎の骨が変形します。また、靭帯が硬くなることで、脊柱管が狭くなることがあります。
2. **椎間板ヘルニア**:
- 椎間板が突出して神経を圧迫することがあり、これが脊柱管狭窄症の原因となることがあります。特に急性の症例では、椎間板が神経に直接圧力をかけることがあります。
3. **脊椎の骨の変形**:
- 椎間関節の変形(脊椎関節症)や骨棘(骨の突起)などが形成されると、脊柱管が狭くなります。このような骨の変形は、加齢や外傷などによって進行します。
4. **脊柱管内の腫瘍**:
- 脊柱管内に腫瘍ができることもまれにあります。これが神経を圧迫し、脊柱管狭窄症の症状を引き起こすことがあります。
5. **外傷や手術後の後遺症**:
- 腰部や脊椎への外傷(事故など)や過去の手術後に、脊柱管が狭くなることがあります。
### 腰部脊柱管狭窄症の症状
腰部脊柱管狭窄症の症状は多岐にわたりますが、主に以下のような症状が現れます。
1. **腰痛**:
- 腰部に鈍い痛みや違和感が生じます。特に長時間立っている時や歩いている時に痛みが増すことがあります。
2. **脚のしびれや痛み**:
- 脚にしびれやチクチクした感覚が現れることがあります。また、坐骨神経痛として知られる、臀部から足にかけて放散する痛みが特徴的です。
3. **歩行障害**:
- 脚に力が入らない、足がもつれる、歩くのが難しくなることがあります。これを「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と言い、一定の距離を歩くと足が重く感じ、休憩すると回復するという特徴があります。
4. **足の冷えや脱力感**:
- 足が冷たく感じる、または力が入りにくくなることがあります。
5. **排尿・排便障害**(重度の場合):
- 脊髄や神経が強く圧迫されると、排尿や排便のコントロールが難しくなることがあります。これを「馬尾症候群」と呼び、緊急の医療介入が必要です。
### 診断方法
腰部脊柱管狭窄症の診断には、以下のような方法が用いられます。
1. **問診**:
- 症状の出現時期や痛みの場所、歩行の状態などを詳しく聞き取ります。
2. **身体検査**:
- 神経の反応や筋力、感覚の異常を確認するための検査を行います。
3. **画像診断**:
- **X線**: 骨の変形や椎間板の状態を確認するために用いられます。
- **MRI**: 脊柱管や神経の圧迫状態を詳しく確認するために最も重要な検査方法です。
- **CTスキャン**: 脊柱の詳細な状態を評価するために使用されることがあります。
### 治療方法
腰部脊柱管狭窄症の治療方法は、症状の程度や患者の状態によって異なります。主に以下の方法が選択されます。
1. **保存療法**:
- **薬物療法**: 痛みや炎症を抑えるための鎮痛薬や消炎薬が使用されます。筋肉の緊張を緩める薬や神経痛に効果的な薬もあります。
- **物理療法**: 物理療法士によるリハビリテーションが行われることがあります。ストレッチや筋力強化運動などが推奨されます。
- **装具の使用**: 腰部をサポートするためのコルセットやブレースを使用することがあります。
2. **手術療法**:
- **椎間板摘出術**: 椎間板が神経を圧迫している場合、その部分を取り除く手術です。
- **脊柱管拡大術**: 圧迫されている脊柱管を広げるための手術です。骨の一部を削ることがあります。
- **固定手術(脊椎固定術)**: 脊椎の安定性を保つために行われる手術です。通常は、脊柱管狭窄症とともに脊椎の変形がある場合に選択されます。
3. **新しい治療法**:
- 最近では、**内視鏡下手術**や**レーザー手術**など、侵襲が少ない方法も試みられています。これにより、回復が早くなることが期待されています。
### 予防方法
腰部脊柱管狭窄症を予防するためには、以下のような生活習慣が役立ちます。
- **適切な体重を維持**すること。
- **腰に負担をかけない姿勢**を心がける。
- **適度な運動**(ウォーキング、ストレッチなど)を行い、筋力を維持する。
- 重いものを持つ際は、**正しい持ち方**や**姿勢**を意識する。
### 結論
腰部脊柱管狭窄症は、加齢や生活習慣の影響を受けやすい疾患ですが、早期に診断と治療を行うことで、症状の進行を遅らせたり、改善したりすることが可能です。痛みや不安を感じる場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。