股関節や足首を骨折したら?非荷重・部分荷重・全荷重の違いについて
骨折をした際、医師から「しばらく体重をかけないでください」「少しずつ体重をかけていきましょう」と指示されることがあります。
特に、股関節や足関節(足首)など、歩行に関わる部位を骨折した場合は、骨折した部分にどの程度体重をかけてよいかが、治療を進めるうえで重要になります。
今回は、骨折後のリハビリでよく使われる「非荷重」「部分荷重」「全荷重」について、簡単に分かりやすく解説します。
1.非荷重(ひかじゅう)とは?
非荷重とは、骨折した足に体重をかけない状態のことです。
例えば、右足の股関節や足首を骨折した場合、立ったり歩いたりするときに右足で体重を支えないようにします。
非荷重のときの移動方法
非荷重の期間は、松葉杖や歩行器、車椅子などを使用して移動します。松葉杖を使用する場合は、両腕と反対側の足で体を支え、骨折した足が床について体重を受けないようにします。
ただし、バランスを崩したり、無意識に足をついてしまったりすることもあるため、医師やリハビリスタッフから正しい使い方を教わることが大切です。
なぜ体重をかけてはいけないの?
骨折した直後や、骨がまだ十分にくっついていない時期に体重をかけると、骨折部に負担がかかり、骨のずれや治癒の遅れにつながる可能性があります。
そのため、骨折の状態や手術の内容によっては、一定期間、完全に体重をかけないように指示されます。
2.部分荷重(ぶぶんかじゅう)とは?
部分荷重とは、医師から指定された範囲内で、少しだけ体重をかける状態のことです。
骨折した部分の回復が進んできた段階で、少しずつ体重をかける練習を始めることがあります。
部分荷重には、体重の約3分の1、半分、3分の2など、いくつかの段階があります。具体的な割合や開始時期は、骨折の種類や治療経過によって異なります。
部分荷重の具体例
体重60kgの人の場合、指示が次のようになっていれば、目安は以下のとおりです。
- 1/3荷重: 約20kgまで
- 1/2荷重: 約30kgまで
- 2/3荷重: 約40kgまで
例えば、右足に1/3荷重の指示が出ている場合は、右足にかける体重を約20kg以内に抑えながら歩行練習を行います。
実際には、体重計などを使って、どの程度の力で足をつけばよいか練習することもあります。
部分荷重のときの注意点
部分荷重では、足を床につけてもよいからといって、自由に体重をかけてよいわけではありません。
松葉杖や歩行器を使い、腕や反対側の足にも体重を分散させながら歩きます。指示された荷重量を守り、痛みが強くなる場合は無理をしないことが大切です。
3.全荷重(ぜんかじゅう)とは?
全荷重とは、骨折した足に体重をかけてよい状態のことです。
骨折部の安定性や治癒の状態などを確認したうえで、医師から全荷重の許可が出ると、通常の歩行に向けた練習を進めていきます。
全荷重になれば、すぐに普通に歩ける?
必ずしもそうではありません。
体重をかけてよい状態になっても、長期間足を使わなかったことで、筋力の低下や関節の硬さ、バランス能力の低下が起こっていることがあります。
そのため、全荷重の許可が出た後も、リハビリを通じて少しずつ歩行能力を回復させていくことが重要です。
最初は歩行器や松葉杖を使用し、状態に応じて杖、そして補助具を使わない歩行へと進めていきます。
4.股関節の骨折と足関節の骨折で違いはある?
股関節と足関節では、骨折する部位や治療方法によって、体重をかけ始める時期が異なります。
股関節の骨折
股関節周辺の骨折には、大腿骨頸部骨折や大腿骨転子部骨折などがあります。
高齢者に多く、手術を行う場合も少なくありません。手術方法や骨折部の安定性によっては、手術後早期から体重をかけることができる場合もあります。一方で、骨折の状態によっては荷重を制限することもあります。
特に高齢者では、長期間寝たきりになると筋力が低下し、日常生活に戻るまで時間がかかることがあるため、安全性を確認しながら早期に離床やリハビリを進めることが大切です。
足関節(足首)の骨折
足関節の骨折には、外くるぶしや内くるぶし、後くるぶしなどの骨折があります。
骨折のずれが少なく、安定している場合には、ギプスや装具で固定しながら治療することがあります。骨折部のずれが大きい場合などは、手術が必要になることもあります。
足関節は歩行時に体重がかかる部位であるため、骨折の状態や手術内容によって、一定期間の非荷重が必要になる場合があります。
骨の治癒や固定の状態を確認しながら、部分荷重、全荷重へと段階的に進めていきます。
なお、股関節や足関節の骨折であっても、すべて同じスケジュールで荷重を進めるわけではありません。
5.非荷重から部分荷重、全荷重へ進む流れ
骨折後のリハビリでは、一般的に次のような流れで進めることがあります。
① 非荷重
骨折部を保護するため、患側の足に体重をかけずに生活します。
② 部分荷重
骨折部の状態を確認しながら、指定された範囲内で少しずつ体重をかける練習を行います。
③ 全荷重
医師の許可を得て、患側の足に体重をかけながら歩行練習を進めます。
④ 歩行能力の回復
筋力や関節の動き、バランス能力を改善し、日常生活での歩行を目指します。
ただし、必ずこの順番で進むとは限りません。骨折の種類や手術方法によっては、早期から全荷重が許可される場合もあれば、長期間にわたって荷重制限が必要な場合もあります。
6.荷重制限を守ることが大切
骨折後の回復を早めたいからといって、自己判断で体重をかけ始めることは避けましょう。
反対に、医師から体重をかけてよいと指示されているにもかかわらず、必要以上に足を使わない状態が続くと、筋力や歩行能力の回復が遅れる可能性があります。
大切なのは、骨折部の治癒状態に合わせて、適切なタイミングで荷重を進めることです。
また、荷重を始めた後に痛みや腫れが強くなった場合は、無理に歩き続けず、医師やリハビリスタッフに相談しましょう。
まとめ
非荷重・部分荷重・全荷重は、骨折した部分にどの程度体重をかけてよいかを示す重要な指示です。
- 非荷重: 骨折した足に体重をかけない
- 部分荷重: 指定された範囲内で体重をかける
- 全荷重: 骨折した足に体重をかけてよい
股関節や足関節の骨折では、骨折の種類や治療方法によって荷重を開始する時期が異なります。
骨折後は、医師の指示を守りながらリハビリを行い、少しずつ筋力や歩行能力を回復させていきましょう。
分からないことや歩行に不安がある場合は、医師やリハビリスタッフに相談することが大切です。






