転んでお尻をぶつけた!!
尾骨骨折・仙骨骨折・骨盤骨折について詳しく解説
「転んでお尻を強くぶつけた」
「尻もちをついてから座ると痛い」
「転んだ後から、お尻や腰がずっと痛い」
このような経験はありませんか?
単なる打撲だと思っていても、実は尾骨骨折、仙骨骨折、骨盤骨折などの骨折が隠れていることがあります。
特に高齢の方では、骨粗しょう症によって骨が弱くなっているため、比較的軽い転倒でも骨折することがあります。日本整形外科学会でも、高齢者では転倒などの比較的軽い外力によって骨盤骨折が起こることがあるとされています。
今回は「お尻をぶつけたときに起こる骨折」について、分かりやすく解説します。
まず知っておきたい「尾骨・仙骨・骨盤」の違い
お尻のあたりには、いくつかの骨があります。
① 尾骨(びこつ)
背骨の一番下にある小さな骨です。
いわゆる「しっぽ」の名残にあたる部分で、尻もちをついたときに直接強い衝撃を受けやすい場所です。
尾骨骨折では、特に「座ると痛い」という症状が特徴的です。
硬い椅子に座ったときや、後ろに体重をかけたときに、お尻の奥にズキッとした痛みを感じることがあります。
② 仙骨(せんこつ)
尾骨の上にある、三角形の大きな骨です。
背骨と骨盤をつなぐ重要な部分で、体重を支える役割があります。
仙骨を骨折すると、
- お尻の奥が痛い
- 腰からお尻にかけて痛い
- 寝返りで痛む
- 立ち上がると痛い
- 歩くと痛い
- 座ると痛い
などの症状が出ることがあります。
仙骨骨折では、骨折の場所や程度によっては神経に影響することもあります。下肢のしびれや筋力低下、排尿・排便に関する症状などがある場合は注意が必要です。
③ 骨盤
骨盤は、腰から股関節周囲にかけて身体を支える大きな骨の集まりです。
「骨盤骨折」と一言でいっても、骨盤の前側・後ろ側など、さまざまな場所に骨折が起こります。
骨盤骨折は交通事故や高所からの転落など、強い外力で起こることが多い一方、高齢者では転倒や尻もち程度の外力でも発生することがあります。
尾骨骨折の症状
尾骨骨折でよくみられるのは、お尻の一番下の部分の痛みです。
特に、
- 椅子に座ると痛い
- 長時間座っていると痛くなる
- 立ち上がるときに痛い
- 仰向けに寝ると痛い
- 排便時に痛みが響く
- 尻もちをついた直後から痛い
といった症状がみられます。
ただし、尾骨周辺の痛みは「打撲」でも起こるため、痛みだけで骨折かどうかを判断することはできません。
仙骨骨折は「レントゲンで分かりにくい」ことも
仙骨は骨盤の奥にあるため、骨折の場所や状態によっては、通常のレントゲンだけでは分かりにくいことがあります。
「レントゲンでは異常なしと言われたけれど、痛みがずっと続く」
という場合には、骨折の状態によってCTやMRIなどの追加検査が検討されることがあります。
特に、
- 強い痛みが続いている
- 歩くとかなり痛い
- 座れない
- 寝返りができない
- 転倒後から症状が改善しない
という場合には、単なる打撲と自己判断しないことが大切です。
骨盤骨折は特に注意が必要!
骨盤は身体の中心にあり、血管や神経なども多く存在しています。
そのため、骨盤骨折の中には大量出血を伴う重症な骨折もあります。
日本整形外科学会によると、重症の骨盤骨折では大量出血によってショック状態になることもあり、緊急の止血処置が必要になる場合があります。
このような場合は救急受診を!
- 強い痛みで動けない
- 立つことができない
- 急に顔色が悪くなった
- 冷や汗が出る
- 意識がぼんやりする
- 大量の内出血や腫れがある
- 足のしびれ・力が入りにくい
- 排尿ができない
- 血尿が出る
このような症状がある場合は、通常の外来受診ではなく、救急医療機関への受診が必要になることがあります。
高齢者の「尻もち」は特に注意!
若い方であれば、かなり強く転倒しないと骨折しないこともあります。
しかし、加齢や骨粗しょう症によって骨が弱くなっている場合、比較的小さな転倒でも骨折することがあります。
例えば、
「自宅で転んだ」
「トイレで尻もちをついた」
「椅子から滑り落ちた」
といった程度でも、骨折する可能性があります。
特に転倒後、
「痛いけれど歩けるから大丈夫」
とは限りません。
骨盤周辺の骨折では、歩ける程度の症状でも骨折が隠れている場合があります。
打撲と骨折、どうやって見分けるの?
残念ながら、症状だけでは完全に区別できません。
骨折でも、
- 少し歩ける
- 腫れがあまりない
- 見た目では分からない
ということがあります。
反対に、強い打撲でも非常に痛くなることがあります。
そのため、転倒後に強い痛みがある場合には、整形外科で診察を受け、必要に応じてレントゲンなどの画像検査を行うことが大切です。
一般的な骨折ではレントゲンが基本となりますが、骨折の場所や状態によってはCTなどの検査が必要になることがあります。
治療は「骨折=手術」ではありません
「骨盤を骨折した」と聞くと、
「手術になるのでは?」
と心配になる方も多いと思います。
しかし、すべての骨折で手術が必要になるわけではありません。
骨折の場所、骨のずれ、不安定性、年齢、全身状態などを考慮して治療方法を決めます。
保存療法
骨折のずれが少なく、安定している場合には、
- 安静
- 痛み止め
- コルセットなどの装具
- 日常生活の動作指導
- リハビリテーション
などで治療することがあります。
骨折の状態によっては、できるだけ早く身体を動かしていくことも重要です。必要以上の長期安静は、筋力低下や身体機能の低下につながることがあります。
手術療法
骨折のずれが大きい場合や、骨盤が不安定になっている場合などでは、手術によって骨折部を固定することがあります。
骨盤輪骨折では、骨折の不安定性が強い場合にスクリューやプレートなどを使用して固定することがあります。
「お尻をぶつけただけ」と思わないことが大切
転倒してお尻をぶつけると、
「ただの打撲だろう」
「そのうち治るだろう」
と考えてしまいがちです。
しかし、
尾骨骨折・仙骨骨折・骨盤骨折などが隠れている可能性があります。
特に、
- 強い痛みがある
- 痛みが数日たっても改善しない
- 座ることができない
- 歩くと痛い
- 立ち上がると痛い
- 夜間や寝返りでも痛い
- 高齢者が転倒した
- 骨粗しょう症を指摘されている
という場合には、一度整形外科で診察を受けることをおすすめします。
まとめ
転んでお尻をぶつけた場合に考えられる骨折には、
「尾骨骨折」
「仙骨骨折」
「骨盤骨折」
などがあります。
尾骨骨折では「座ると痛い」という症状が目立ち、仙骨骨折ではお尻の奥から腰にかけての痛みや、立ち上がり・歩行時の痛みなどがみられることがあります。
また、骨盤骨折は重症になると大量出血を伴うこともあるため、強い痛みで動けない、意識がぼんやりする、冷や汗が出るなどの症状がある場合は緊急性があります。
「転んでお尻をぶつけただけ」と自己判断せず、痛みが強い場合や長引く場合には整形外科を受診しましょう。
特に高齢の方では、軽い転倒でも骨折することがあります。
「打撲なのか、骨折なのか分からない」という場合も、まずは整形外科にご相談ください。






