杖の正しい使い方とは?高さの合わせ方・持つ手・歩き方を高齢者向けにわかりやすく解説
こんにちは!東伏見整形外科です!今回は杖の使い方を説明いたします!!
「最近、歩くとふらつくようになった」
「膝や腰が痛くて歩くのがつらい」
「転ぶのが怖くなってきた」
このようなときに役立つのが杖です。
杖は、歩くときのバランスを助けたり、痛い足にかかる負担を減らしたりする大切な道具です。
しかし、杖は「持って歩けばよい」というものではありません。
杖の高さが合っていない、持つ手が間違っている、歩く順番が違うなど、使い方を間違えると、かえって歩きにくくなったり、転倒につながったりすることがあります。
今回は、高齢者の方にもわかりやすいように、杖の正しい合わせ方と使い方について説明します。
そもそも杖は何のために使うの?
杖には主に、
- 歩くときのバランスを安定させる
- 痛い足にかかる負担を減らす
- ふらつきを少なくする
- 転倒への不安を減らす
といった役割があります。
「杖を使うと足が弱くなるのでは?」と心配される方もいますが、安全に歩くために必要な補助具として正しく使うことが大切です。
特に、膝や股関節、足首などに痛みがある方、足の筋力が低下している方、歩くとふらつく方には杖が役立つことがあります。
杖はどちらの手で持つ?
これは非常に重要なポイントです。
基本は「痛い足・弱い足と反対側」です。
例えば、
左膝が痛い → 右手に杖
右股関節が痛い → 左手に杖
というように、痛い足の反対側の手で持つのが基本です。
杖と痛い足を同時に支えることで、痛い足にかかる負担を減らし、体を安定させやすくなります。
ただし、両足が痛い場合や、手や肩に問題がある場合、脳卒中などによる麻痺がある場合などは、持つ手が変わることがあります。
「どちらの手で持てばいいかわからない」という方は、整形外科やリハビリで相談しましょう。
杖の高さはどうやって合わせる?
杖を安全に使うためには、自分の体に合った高さに調整することが非常に大切です。
高すぎても低すぎてもいけません。
基本的な合わせ方
普段履いている靴を履いて、自然に立ちます。
その状態で、
- 腕の力を抜いて自然に下ろす
- 杖を体の横に置く
- 杖のグリップが手首付近の高さになるようにする
- 杖を持ったときに肘が軽く曲がる状態にする
これが基本的な目安です。
一般的には、杖を体のやや前・外側に置いた状態で、肘が約20~30度程度軽く曲がる高さが目安になります。
ただし、身長や腕の長さ、腰の曲がり具合、普段の姿勢などによって適切な高さは変わります。
そのため、最終的には実際に杖を使って歩いてみて、姿勢や歩き方を確認することが大切です。
杖が「高すぎる・低すぎる」とどうなる?
杖が低すぎる場合
杖が短すぎると、
- 腰が曲がる
- 前かがみになる
- 杖に体重をかけにくい
- 肩や腰に負担がかかる
などの問題が起こることがあります。
杖が高すぎる場合
反対に杖が長すぎると、
- 肘が伸びきってしまう
- 杖に体重をかけにくい
- 肩が上がってしまう
- 杖が体から離れてしまう
など、歩きにくくなることがあります。
杖の長さが合わないまま使い続けると、肩や手首などに負担がかかることもあります。
「長年この高さで使っているから大丈夫」ではなく、一度高さを確認してみることをおすすめします。
杖の正しい歩き方
杖を使って歩く場合、基本となるのが、
「杖 → 痛い足 → 元気な足」
という順番です。
例えば、左足が痛く、右手に杖を持っている場合、
① 右手の杖を前に出す
↓
② 左足を杖の近くまで出す
↓
③ 右足を前に出す
という順番です。
最初はゆっくりで構いません。
「杖、痛い足、元気な足」
と覚えておくとわかりやすいでしょう。
杖を使うときの姿勢も大切
杖を使っていると、杖に頼るあまり、
「杖をつく → 体を大きく前に倒す」
という歩き方になってしまう方がいます。
杖を使うときも、
- 前を見て歩く
- 背中を必要以上に丸めない
- 肩をすくめない
- 杖を強く突きすぎない
- 無理に大股で歩かない
ことが大切です。
**「杖で体を引っ張る」のではなく、「杖を使ってバランスを補助する」**というイメージで歩きましょう。
階段では特に注意!
杖を使っている方にとって、階段や段差は転倒しやすい場所です。
基本的な覚え方として、
階段を上るとき
「元気な足から」
上りでは、まず元気な足を上の段へ。
その後、杖と痛い足を上げます。
階段を下りるとき
「杖と痛い足から」
まず杖を下の段につき、痛い足を下ろします。
最後に元気な足を下ろします。
覚え方は、
「上りは元気な足、下りは痛い足」
です。
ただし、階段では手すりがある場合は、手すりを優先して使うほうが安全な場合があります。
無理に杖だけで階段を移動しないようにしましょう。
杖を使うときの「やってはいけないこと」
① 杖を体から離しすぎる
杖を遠くに突くと、体が前に倒れやすくなります。
杖は体の近くで、無理なく支えられる位置につきましょう。
② 杖を横に突く
杖を真横に突いて歩くと、杖が滑ったり、バランスを崩したりすることがあります。
基本的には、体のやや前方に安定して杖をつくようにしましょう。
③ 杖の先端がすり減っている
杖の先についているゴムは、長く使用するとすり減ります。
ゴムがすり減っていたり、ひび割れていたりすると、滑りやすくなるため注意が必要です。
定期的に確認しましょう。
④ 杖だけで無理をする
杖を使っていても、
「ふらふらする」
「杖がないと立っていられない」
「何度も転びそうになる」
という場合は、一本杖だけでは十分な補助になっていない可能性があります。
一本杖と四点杖、どちらがいい?
杖にはさまざまな種類があります。
一本杖(T字杖)
軽くて持ち運びやすく、歩行時のバランスを補助する目的でよく使われます。
「歩けるけれど少しふらつく」「膝が痛くて歩くのが不安」という方などに使用されます。
四点杖・多点杖
杖の先が複数に分かれているため、一本杖より安定しやすいのが特徴です。
一方で、重量があり、凹凸のある場所や段差では扱いにくいことがあります。
杖は「安定していれば何でもいい」というわけではありません。
その人の筋力、バランス能力、痛み、歩く場所などに合わせて選ぶことが大切です。
「杖を使ったほうがいいのかな?」と思ったら
高齢になると、
「最近、歩くのが遅くなった」
「つまずくことが増えた」
「外を歩くのが怖くなった」
「膝が痛くて長く歩けない」
ということが増えてきます。
このようなときに、杖を上手に使うことで、安心して歩けるようになることがあります。
ただし、歩きにくさの原因が「年齢だから仕方がない」とは限りません。
膝や股関節、腰、足首などの病気が隠れていることもあります。
また、筋力低下やバランス能力の低下が強い場合は、杖よりも歩行器など、別の歩行補助具が適している場合もあります。
まとめ
杖は、正しく使えば歩行を安全にするための心強い道具です。
大切なポイントは、
① 痛い足・弱い足とは反対側の手で持つ
② 自分の体に合った高さに調整する
③ 杖 → 痛い足 → 元気な足の順番で歩く
④ 前を見て、無理のない姿勢で歩く
⑤ 階段や段差では特に注意する
⑥ 杖の先端のゴムがすり減っていないか確認する
ということです。
「杖を買ったけれど、高さが合っているかわからない」
「どちらの手で持つの?」
「杖を使っても歩くのが怖い」
という方は、自己流で使い続けず、整形外科やリハビリテーションで一度相談してみましょう。
自分の体に合った杖を正しく使うことは、転倒を防ぎ、安心して歩き続けるための大切な一歩です。






